横浜市大倉山記念館、横浜市港北区の中心に立つこの建物は、昭和7年(1932年)に実業家の大倉邦彦が大倉精神文化研究所の本館として建てたものです。
建物の東側で現在も活動を続ける大倉精神文化研究所の附属図書館閲覧室には、一辺が約2.5メートルもある巨大な絵画が展示されています。
『日本精神文化曼荼羅』と題するこの絵は、大倉邦彦が創案し、日本画家の井村方外に描かせたものです。曼荼羅とは仏教絵画の1つで、 仏の悟りの境地である宇宙の真理 を表す方法として、仏や菩薩などを体系的に配列して図示したものです。しかしこの曼荼羅の中心に描かれているのは聖徳太子で、その周囲にいるのもどこかで見たような人物たちです。
研究所の建設とほぼ同時に制作されたこの曼荼羅は、かつては応接室(現在の大倉山記念館第5 集会室)に展示されており、邦彦は大倉精神文化研究所の訪問者に研究所を創った目的や研究所の活動について説明する際、この曼荼羅を使用していました。研究所には生前の邦彦がこの曼荼羅について自ら説明している貴重な音声テープが残っています。
・・・これはもう仏画が一杯の様に見えますけども、大体これは曼荼羅の形式によって描いた、何といいますか、思想、日本人の心を描いたというものです。・・・
(大倉邦彦の説明より)
大倉邦彦が日本精神文化曼荼羅によって表現しようとした研究所の使命とは?日本人の心とは?美術品としても美しいこの曼荼羅をテープからよみがえった邦彦の肉声とともに鑑賞しながら、その制作意図を探ります。
(大倉精神文化研究所 研究員 林 宏美)
企画:公益財団法人 大倉精神文化研究所
制作協力:平井 誠二 星原 大輔
撮影協力:横浜市大倉山記念館
出演:林 宏美 大倉 邦彦(声)
ナレーション:広瀬 未来
構成:佐藤 将之
撮影:伊藤 幸晴 下西 和比古 神保 正人
編集:下西 和比古
制作・著作:港北ふるさとテレビ局
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